はじめに
五十肩、または肩関節周囲炎は、肩の痛みと運動制限を特徴とする一般的な疾患です。
この記事では、理学療法士が行う肩関節に対する評価の推奨グレード別のエビデンスを紹介します。
これらのエビデンスは、効果的な治療計画を立てるための参考情報として役立ちます。
五十肩の概要
五十肩は、肩関節を包む関節包が炎症や癒着を起こすことで発生します。
これにより、肩の可動域が制限され、痛みが生じます。
発症原因は明確ではありませんが、40歳以上の中高年に多く見られることから「五十肩」と呼ばれています。
理学療法評価の重要性
理学療法士による評価は、患者の症状や肩の可動域、筋力を把握し、適切な治療計画を立てるために重要です。推奨される評価方法には、問診、視診、触診、可動域テスト、筋力テスト、機能的動作テストなどが含まれます。
推奨グレード別エビデンス
- 問診と視診(推奨グレード:A)
- 問診では、患者の症状や日常生活での制限について詳細に聞き取ります。視診では、肩の左右差や姿勢の歪み、肩甲骨の動きなどを観察します。
- エビデンス: 問診と視診は、患者の主観的な情報と客観的な情報を組み合わせることで、全体的な状態を把握するのに効果的です。
- 可動域テスト(推奨グレード:A)
- 肩の屈曲、伸展、外転、内旋、外旋など、各方向への可動域を測定します。
- エビデンス: 可動域テストは、関節の動きを客観的に評価し、治療効果の判定に役立ちます。
- 筋力テスト(推奨グレード:B)
- 肩周囲の筋肉の筋力を測定し、筋力低下やアンバランスを評価します。
- エビデンス: 筋力テストは、筋力低下や筋肉のアンバランスを検出することで、リハビリテーションのプランニングに役立ちます。
- 機能的動作テスト(推奨グレード:B)
- 患者の日常生活動作(ADL)に関連した動作テストを行い、肩の機能を評価します。
- エビデンス: 機能的動作テストは、患者が日常生活で経験する困難を具体的に評価するために重要です。
まとめ
五十肩の理学療法評価は、患者の個々の症状や生活の質を改善するための重要なステップです。
問診と視診、可動域テスト、筋力テスト、機能的動作テストなど、多角的な評価方法を組み合わせることで、より効果的な治療計画を立てることができます。
参考文献
- Neviaser, A. S., & Hannafin, J. A. (2010). Adhesive capsulitis: a review of current treatment. American Journal of Sports Medicine, 38(11), 2346-2356.
- Kelley, M. J., & Shaffer, M. A. (2013). Management of frozen shoulder: evidence-based practice protocols. Journal of Musculoskeletal Medicine, 30(1), 19-24.
- Lewis, J. (2015). Frozen shoulder contracture syndrome – Aetiology, diagnosis and management. Manual Therapy, 20(1), 2-9.
この情報が、五十肩に対する理学療法評価の理解と参考になれば幸いです。
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