上腕骨顆上骨折とは?
上腕骨顆上骨折は、肘に近い上腕骨の部分で骨折が生じる状態で、特に子どもに多く見られます。この骨折は転倒や遊び中の事故、スポーツなどで腕を伸ばして地面に手をついた際に発生することがよくあります。小児は骨の成長過程にあるため、この部位の骨折は注意が必要です。
この記事では、上腕骨顆上骨折の原因、合併症、そして治療法について詳しく解説します。
上腕骨顆上骨折の原因
上腕骨顆上骨折は、一般的に転倒や事故で腕を伸ばして手をつくことによって発生します。特に次のようなシチュエーションで骨折のリスクが高くなります。
- 遊具からの転落:公園や遊園地での遊び中に起こりやすいです。
- スポーツ中のケガ:特にサッカーやバスケットボール、体操など、身体を激しく動かすスポーツで発生します。
- 自転車やスケートボードでの転倒:スピードを伴う移動中の事故が原因で骨折することがよくあります。
小児の場合、骨がまだ完全に成熟していないため、比較的弱く、転倒による衝撃で容易に骨折が起こります。
上腕骨顆上骨折の合併症
上腕骨顆上骨折は、適切な治療が行われないと深刻な合併症を引き起こす可能性があります。代表的な合併症として以下の3つが挙げられます。
- フォルクマン拘縮
フォルクマン拘縮は、骨折に伴って血管や神経が損傷された場合に発生します。腕の血流が悪くなり、筋肉が縮んで硬直してしまうことで、手や指の動きが制限される状態です。早期の治療が行われないと、永続的な障害を残すことがあります。 - コンパートメント症候群
コンパートメント症候群は、骨折部位の周囲に腫れや内出血が起こり、筋肉や神経が圧迫されることで発生します。強い痛みやしびれが現れ、場合によっては手足の機能が損なわれる危険があります。急速に進行するため、早急な対応が必要です。 - 肘の変形
上腕骨顆上骨折が適切に治療されない場合、骨が正常な位置で癒合せず、肘が変形する可能性があります。この状態は、腕の可動域に影響を与え、日常生活に支障をきたすことがあります。
上腕骨顆上骨折の治療法
上腕骨顆上骨折の治療には、骨折の程度や合併症の有無によって異なるアプローチが取られます。
- 保存療法
軽度の骨折であれば、ギプスやスプリントを用いて骨を固定し、自然治癒を促します。この方法では、定期的にX線検査を行い、骨が正しい位置で癒合しているか確認します。 - 整復手術
骨がずれている場合、手術が必要になることがあります。骨を元の位置に戻してピンやプレートで固定することで、正しい位置で骨が癒合するようにします。 - リハビリテーション
骨が癒合した後は、関節や筋肉を柔軟に保つためのリハビリが必要です。理学療法士の指導のもと、関節の動きや筋力を回復させ、再発を防ぐトレーニングを行います。
まとめ
上腕骨顆上骨折は、小児に多く発生する骨折の一つで、適切な治療が行われないと深刻な合併症を引き起こすことがあります。フォルクマン拘縮やコンパートメント症候群、肘の変形などのリスクを避けるためにも、早期の診断と適切な治療が必要です。骨が癒合した後も、しっかりとリハビリを行い、再発防止に努めることが大切です。
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